英語の基本は文法だ!分詞構文を使いこなす!
1番のポイントをズバリ言うと、「動詞が副詞の役割をするが分詞構文」なんです。それをふまえて、①分詞構文への書き換え方、②分詞構文の意味、③分詞構文の慣用表現の3つの項目をしっかり押さえましょう。
分詞構文は、もともと文字を節約するための省略の技法です。なので接続詞など、なくても意味が通りそうなものを省略しますので、「あっ、これ分詞構文だ」と気が付いた時点で読み直す必要があるため、会話には適していません。相手からすれば「もう~省略しないでよね。さっきなんて言ったの?」みたいになるからです。
分詞構文を使うと文がコンパクトになって流れがよくなり、ネイティブにっとっては読みやすくなるんです。ですから、雑誌や新聞などに使われる文語表現が分詞構文なんです。
「分詞構文」に書き換えるための基本の3ステップ
まず最初に押さえてほしいのは、分詞構文とは主節を修飾する副詞句(副詞のかたまり)の事です。副詞ですからなくなってもOKな表現です。それでは書き換えの方法についてです。
① 接続詞を消す
② S(主語)も消す
(ただし主節のSと違う場合のみ残す)
③ V(動詞)を現在分詞 (~ing) に変える。
( 通常Being の場合は、99%省略されます)
■ When I entered the room. I saw him.
⇒ Entering the room, I saw him.
『私が部屋に入ったとき、彼を見た。』
⇒ Entering the room, I saw him.
『私が部屋に入ったとき、彼を見た。』
■ Because I am held in your arms, I don't have to be afraid of tomorrow.
⇒ (beeing) Held in your arms, I don't have to be afraid of tomorrow.
『あなたの腕に抱かれているので、私は明日を恐れる必要がない。』
⇒ (beeing) Held in your arms, I don't have to be afraid of tomorrow.
『あなたの腕に抱かれているので、私は明日を恐れる必要がない。』
◆ですから読んでいって、形として文頭に「 ~ing 」又は「 p.p.(過去分詞)」があって、後ろに主節の「SV」があったら「分詞構文」だと思って間違いありません!
分詞構文問題の解法とは?
◆解法の基本は、
①主節のS(主語)を、分詞構文のS(主語)とする。
②能動(Sが~する) なら ⇒ 【 ~ing 】
受動(Sが~される)なら ⇒ 【 p.p.(過去分詞)】を置く。
【大学入試問題1】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ ( ) out a key from her bag, she opened the box.
1. To take 2. To have taken 3. Taking 4. Taken
■ ( ) out a key from her bag, she opened the box.
1. To take 2. To have taken 3. Taking 4. Taken
カンマの後ろにSとVがあるなら、その前は省略可能な副詞句です。その文頭に空欄があるなら、100%分詞構文の問題です。
まず主節の she を副詞句の主語にします。彼女が、彼女のバックからカギを1つ「取り出す(能動)」わけです。彼女が「取り出される(受動)」わけではないので、「3.Taking」が正解になります。
【大学入試問題2】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ ( ) in simple English, this book is easy to read.
『簡単な英語で書いてあるので、この本は読みやすい。』
1. Writing 2. Written 3. To write 4. Having written
■ ( ) in simple English, this book is easy to read.
『簡単な英語で書いてあるので、この本は読みやすい。』
1. Writing 2. Written 3. To write 4. Having written
これも主節を見た瞬間に分詞構文の問題と分かるので、1か2のどちらかです。
次に主節の「この本」を副詞句の主語にすると、この本が簡単な英語で「書く(能動)」のわけがないので、「書かれている(受動)」の「2.Written」が正解になります。
注意点が一つだけあります。難関大学ではあえて日本語訳を示して、上記のように「書かれている」ではなく「書いてある」と能動のように誤解させる問題があることです。間違って「1.Writing」を選んでしまわないようにして下さいね。
分詞構文が置かれる場所と感情動詞
分詞構文が使われる副詞句は、副詞なので省略可能です。ですから、文頭にだけでなく、SとVの間や文の後ろに置かれる場合もあります。また、感情を表す動詞と組み合わされることもあるので注意が必要です。次がその例です。
【大学入試問題3】空欄に入る語句を選びなさい。
■ The lights went out suddenly, ( ) everyone in the public hall.
1. surprised 2. surprising 3. surprisingly 4. in surprise
■ The lights went out suddenly, ( ) everyone in the public hall.
1. surprised 2. surprising 3. surprisingly 4. in surprise
これは分詞構文が後ろ置かれるパターンです。主節の主語「そのライト」を副詞句の主語にします。
そのライトがみんなを「驚かせた(能動)」わけです。感情動詞たちの意味は「~させる」なので、 surprise は能動で「驚かせる」、受動で「驚かさせられた ⇒ 驚いた」となり「2. surprising」が正解となります。
【大学入試問題4】空欄に入る語句を選びなさい。
■ The spectators gave her graceful performance a standing ovation. Deeply ( ), she expressed her thanks.
1. moving 2. move 3. moved 4. to move
■ The spectators gave her graceful performance a standing ovation. Deeply ( ), she expressed her thanks.
1. moving 2. move 3. moved 4. to move
感情動詞 move は能動で「感動させる」、受動で「感動させられる ⇒ 感動する」です。ですから「観客たちが、彼女の優雅な演技にスタンディングオベーションで応えてくれた」その結果、彼女は Deeply(深く)「感動させられた(受動)」わけですから、「3. moved」が正解になるわけです。
感情動詞については、以下の記事をご覧ください。
【英語文法10・分詞】分詞を使いこなす!形容詞用法やその意味とは?
書店に溢れる、どんな文法書よりもわかりやすい文法解説を目指すシリーズの10回目は、分詞です分詞のポイントはたった3つ。1つ目が中学校で習った「形容詞用法],2つ目が、一番大事な「感情動詞の意味」です。「~ing 」と「 ~ed 」の違いをしっかり押さえる必要があります。3つ目が、付帯状況の with になります。
分詞構文の意味上の主語
◆分詞構文の主語は次のように扱います。
①分詞構文(副詞句)の主語Sが、主節Sと同じ。
⇒ Sを消す。
②主節Sと違う。
⇒ Sを分詞の前に残す。
⇒ Sが一般人を表すときは省略可。
主節のSと違う場合の通常パターン
■ Because my son won the game, I was proud of him.
⇒ My son winning the game, I was proud of him.
『私の息子がその試合に勝ったので、私は彼を誇りに思った。』
⇒ My son winning the game, I was proud of him.
『私の息子がその試合に勝ったので、私は彼を誇りに思った。』
過去分詞がくるパターン
■ After the car was washed, Tom went there.
⇒ The car (being) washed, Tom went there.
『車は洗われたので、トムはそこに行った。』
⇒ The car (being) washed, Tom went there.
『車は洗われたので、トムはそこに行った。』
There is ~ のパターン
There を主語Sとして扱い、次のように書き換えます。
■ Because there was no objection, they accepted the program.
⇒ There being no objection, they accepted the program.
『異議がなかったので、彼らはそのプログラムを受け入れた。』
⇒ There being no objection, they accepted the program.
『異議がなかったので、彼らはそのプログラムを受け入れた。』
分詞構文の否定形(not の場所)
◆ not は、~ing の前委に置く。
⇒ not ~ing
分詞構文の否定形(一般動詞の場合)
■ Because I didn't know what to do, I remained silent.
⇒ Not knowing what to do, I remained silent.
『何をすべきか分からなかったので、私はだまっていた。』
⇒ Not knowing what to do, I remained silent.
『何をすべきか分からなかったので、私はだまっていた。』
分詞構文の否定形(be 動詞の場合)
■Since she isn't honest, she is disliked by everyone.
⇒ Not being honest, she is disliked by everyone.
『彼女は正直ではないため、みんなに好かれていない。』
⇒ Not being honest, she is disliked by everyone.
『彼女は正直ではないため、みんなに好かれていない。』
分詞構文の時制
◆分詞構文内(副詞句内)の時制
①時制が主節と同じ
⇒ ~ing のまま
②主節より一つ前
⇒ having + p.p.(過去分詞)
■ Though I try to resist, I can't abandon you.(同じ時制)
⇒ Trying to resist, I can't abandon you.
『抵抗しようとするけど、あなたを見捨てることはできない。』
⇒ Trying to resist, I can't abandon you.
『抵抗しようとするけど、あなたを見捨てることはできない。』
■ Because I won the game, I am proud of myself.(副詞句が一つ前の時制)
⇒ Having won the game, I am proud of myself.
『(昔)私はその試合に勝ったので、(今)自分自身を誇りに思っている。』
⇒ Having won the game, I am proud of myself.
『(昔)私はその試合に勝ったので、(今)自分自身を誇りに思っている。』
分詞構文の意味
従来の文法書には、分詞構文の意味(訳し方)として次のようなことが書かれています。高校で覚えさせられましたね。
①時「~する時」
②原因理由「~するので」
③条件「もし~するならば」
④譲歩「~するけど」
⑤付帯状況「~しながら」
②原因理由「~するので」
③条件「もし~するならば」
④譲歩「~するけど」
⑤付帯状況「~しながら」
しかし、ネイティブがいちいちこんなことを考えながら、分詞構文を読んでいるわけがありません。
こんなのは全部忘れましょう。
◆分詞構文はその位置で意味が決まる!
① ~ing ~ , SV.(先頭)
②S, ~ing ~, V.(真ん中)
⇒ ①と②は、「~してSVだ」又は「~のでSVだ」と適当に訳してOK。
③SV, ~ing ~ .(文末)
⇒ 「SVして、そして~だ。」又は「~しながらSVだ」
※これは、ほぼどちらでもOK。
※入試ではこれが狙われる!
【大学入試問題5】空欄に入る語句を選びなさい。
■ ( ) in easy English, this book will be useful beginners.
1. Writing 2. Written 3. To write 4. Write
■ ( ) in easy English, this book will be useful beginners.
1. Writing 2. Written 3. To write 4. Write
この本が簡単な英語で「書かれている」、受動なので「2.written」が正解になります。訳は文頭なので、『この本は簡単な英語で書かれているので、初心者に役立つだろう。』となります。
【大学入試問題6】空欄に入る語句を選びなさい。
■ The Bank of Washington, ( ) in 1809, is one of the oldest companies in the United States.
1. it was founded 2. founding 3. to be founded 4. founded
■ The Bank of Washington, ( ) in 1809, is one of the oldest companies in the United States.
1. it was founded 2. founding 3. to be founded 4. founded
真ん中に入っていて、左右にSVがあるので、省略してもOKの分詞構文だと分かります。札幌銀行が1891年に「設立された」、受動「4.founded」が正解となります。
訳は文中なので、『ワシントン銀行は1809年に設立されたので、アメリカで最も古い会社の一つです。』となります。
◆英語の長文を読んでいくとき、分詞構文が出てくるたびに「これは原因理由かな?それとも時?条件かな?」なんていちいち考える必要なんかありません。省略してもいいくらい情報なんですから、適当でOKなんです。逆に言うと省略していないときには、「ここはキッチリ伝えたいんだな」と読み取ればいいんです。
【大学入試問題7】空欄に入る語句を選びなさい。
■ He has been sitting by the cell phone all day ( ) for her to call.
1. have waited 2. waiting 3. waited 4. waite
■ He has been sitting by the cell phone all day ( ) for her to call.
1. have waited 2. waiting 3. waited 4. waite
これはカンマなしの分詞構文が文末にあるパターンです。彼女が電話をかけてくるのを「待っている」、能動なので「2.waiteing」が正解になります。
訳は文末なので、『彼は一日中携帯電話の近くに座り続けている、そして彼女が電話をかけてくるのを待っている。』又は『彼女が電話をかけてくるのを待ちながら、彼は~』となります。この例の場合、どちらでもOKですね。
分詞構文の重要(慣用)表現
分詞構文の意味上の主語がない場合
分詞の意味上の主語を明示しない慣用表現ですが、厳密に言うと「不特定多数の人々」や「話者」になりますが、意識する必要はありません。
◆ frankly speaking 『率直に言うと』
■ Frankly speaking, I think this book is boring.
『率直に言うと、この本は退屈だと思う。』
『率直に言うと、この本は退屈だと思う。』
◆ generally speaking 『一般的に言えば』
■ Generally speaking, Japanese people work hard.
『一般的に言って、日本人は一生懸命働きます。』
『一般的に言って、日本人は一生懸命働きます。』
◆ judging from ~ 『~から判断すると』
■ Judging from the look of the sky, it will rain tomorrow.
『空模様から判断すると、明日は雨だろう。』
『空模様から判断すると、明日は雨だろう。』
◆ compared with[to] ~ 『~と比べると』※toでもOK
◆ taking ~ into consideration 『~を考慮すると』
◆ strictly speaking 『厳密に言えば』
◆ speaking of ~ 『~と言えば』
◆ talking of ~ 『 〃 』
◆ given ~ 『 ~を与えられて ⇒ ~を考慮すると』
分詞構文の意味上の主語がある場合
◆ all things considered 『すべてを考慮すると』
◆ considering all things 『 〃 』
■ All things considered, Ken did well.
= Considering all things, Ken did well.
『すべてを考慮すると、ケンはよくやった。』
= Considering all things, Ken did well.
『すべてを考慮すると、ケンはよくやった。』
◆ other things being equal 『他の条件が同じならば』
◆ such being the case 『そういうわけで』
※ the caseは「実情」「真実」の意味
◆ weather permitting 『天気がよければ』
※天気が許可すればが転じた
分詞構文が前置詞になってしまったもの
◆ during ~ 『~の間 』
※もとは dure「続く」という動詞だった。
◆ owing to ~ 『~が原因で』
◆ including ~ 『~を含めて』
■ He stole everything in my purse, including my credit cards.
『私のクレジットカードも含めて、彼は私の財布からすべて盗んだ。』
『私のクレジットカードも含めて、彼は私の財布からすべて盗んだ。』
◆ concerning ~ 『~に関して』
◆ regarding ~ 『 〃 』
◆ according to ~ 『~によれば』
すべてしっかり覚えて、使いこなしてください!
【英語文法12・受動態】学校では本当の意味を教えてくれない!
書店に溢れる、どんな文法書よりもわかりやすい文法解説を目指すシリーズの12回目は、受動態です。ポイントは受動態の「本当の意味」です。中学校で習うのが、訳の「~れる、~られる」。しかし実は、この訳し方そのものがネイティブ感覚から大きくそれているんです!