英語の基本は文法だ!受動態を使いこなす!
受動態のポイントは、受動態の「本当の意味」です。中学校で習ったのが、受け身の訳「~れる、~られる」。しかし実は、この訳し方そのものがネイティブ感覚から大きくそれているんです!
受動態の本当の意味を理解しよう!
日本語の受動態「れる・られる」
日本語で受け身を使う理由は、何らかの利益があったり逆に被害があることを表すためです。ただ、利益と被害は表裏一体なので、状況によっては利益にも被害にもなる場合があります。日本語を確認してみましょう。
◆ 日本語で受け身を使う理由
【利益】『入学を認められる』『結婚を許される』『(有利な証拠が)発見される』
【被害】『車にひかれる』『お金を盗まれる』『(不利な証拠が)発見される』
を表すため。
英語の受動態の文型「 be + p.p.(過去分詞)」」
ところが英語では、受け身で利益と被害を表すのは「まれ」です。実はそれ以外の使い方がほとんどのため、違和感のある「日本語訳」が出てくるんです。
◆ 英語で受け身を使う理由
①利益と被害(ごくわずか。英語ではほとんど使われない!)
②主語Sを言いたくない場合
・言わなくてもSが明らか。
・Sを隠したい。
・Sが分からない又は不特定多数。
③主語Sと目的語Oの位置を変えたい場合
・Sが新情報なので
⇒文末の by Sで強調したい。
・Oが旧情報なので
⇒Oを文頭にして前文と自然につなぎたい。
◆②と③の理由で受動態が使われることの方がほとんど。
⇒ なので受動で訳すと変な日本語になる!
⇒ なので能動で訳した方がよい場面がほとんど!
主語Sを言いたくない場合の受動態
■ Ken(S) broke(V) the window(O).
『ケンがその窓を壊した。』
『ケンがその窓を壊した。』
ところで、英文を組み立てるときは、旧情報を先に出して特に伝えたい新情報は後から出すのが普通です。この文では、壊れたのは「窓」なんだということが強調されます。
ところで、窓を壊したのは誰ですか?主語の「ケン」です。もしもここで、誰が壊したか言うまでもなかったり(もうみんな知ってる)、逆に不明だったり、又は隠したかったりする場合に、英語では受動態を使うんです!
■ Ken(S) broke(V) the window(O).
⇒ The window was broken.
『窓が壊された。』又は単に『窓が壊れた。』
⇒ The window was broken.
『窓が壊された。』又は単に『窓が壊れた。』
例文をもう一つ紹介します。
■ The newspapers are delivered around 6:00 a.m.
『その新聞は、午前6時頃に配達される。』
『その新聞は、午前6時頃に配達される。』
誰が配達しますか?郵便配達の人なわけで、当たり前のことですね。ですからあえて表す必要がないので、受動態が使われる訳です。さらにもう一つ。
■ This temple was build about 600 years ago.
『この寺院は、約600年前に建てられた。』
『この寺院は、約600年前に建てられた。』
600年も前のことですから、誰が建てたのか不明です。こんな場合にも受動態が使われるんです。
主語Sと目的語Oの位置を変えたい場合の受動態(1)
■ Ken(S) broke(V) the window(O).
『ケンがその窓を壊した。』
『ケンがその窓を壊した。』
これを聞いたネイティブが、最初の「Ken」を聞き逃して「窓が壊れたんだ、で誰がやったの?」と聞き返したとします。この場合、the window(O) は旧情報、Ken(S) が強調したい新情報になるわけです。ですから英語では、SとOをひっくり返して次のように返します。
■ Ken(S) broke(V) the window(O).
⇒ The window(O) was broken by Ken(S).
『その窓はケンによって壊されたんだよ!』
⇒ The window(O) was broken by Ken(S).
『その窓はケンによって壊されたんだよ!』
『ひっくり返して受動態にして文末の【by~】を強調したい!』そんな場合に英語では受動態を使うんです。もしも最後に【by~】があれば、「ここを強調したいんだな」と判断しましょう。長文を読む時に思い出してくださいね。ちなみに、受動態の文では by がない場合がほとんどです。
主語Sと目的語Oの位置を変えたい場合の受動態(2)
■ Coffee (S) follows the meal (O).
『直訳:コーヒーは、食事を追いかけます。』
『直訳:コーヒーは、食事を追いかけます。』
follow は「~追いかける」「~に続く」という意味です。順番を矢印で表現すると「S(コーヒー)←O(食事)」となります。後ろの O から前の S に戻ってくる順番ですから、ハッキリ言うと分かりずらいです。ですから『SとOをひっくり返して文を分かりやすくしたい!』そんな場合に英語では受動態を使うんです。だから訳は能動態でいいんです。
■ Coffee (S) follows the meal (O).
⇒ The meal is followed by coffee.
『直訳:食事はコーヒーに追いかけられる。』
『正しい能動の訳:食事の後にコーヒーが出る。』
⇒ The meal is followed by coffee.
『直訳:食事はコーヒーに追いかけられる。』
『正しい能動の訳:食事の後にコーヒーが出る。』
食べる(飲む)順番は The meal (食事)→ coffee (コーヒー)ですから、文に出てくる順番と同じになって分かりやすくなりました。あくまでも文をスッキリするために受動態という形をとっているだけなので、「食事はコーヒーに追いかけられる」なんて変な訳をしないようにしましょうね。
◆ be follow by ~ 『(Sに)続いて~がある。』
これが分詞構文になったものが次の形です。
◆ S V , followed by ~ 『SVに続いて~がある。』
【大学入試問題1】GDP の順位でいうと, Germany は何位でしょうか。
■ The United States has the highest GDP; then come Japan and China,
followed by Germany and other Western European democracies.
1. 3 位 2. 4 位 3. 5 位
■ The United States has the highest GDP; then come Japan and China,
followed by Germany and other Western European democracies.
1. 3 位 2. 4 位 3. 5 位
1位はアメリカ、それに続いて2位が日本、3位が中国、それに続いてドイツですから、「2.4位」が正答になるわけです。
受動態の本当の意味~まとめ~
■ The book can be borrowed from the library.
『その本は図書館で借りることができる。(能動態)』
『その本は図書館で借りることができる。(能動態)』
1つめは、能動態で訳した方がよい場合が多いということです。例文を中学校で習ったとおりに訳すと、『その本は図書館から借りられることができる』となりますが、とてもに変な日本語ですね。
誰だって借りることができるわけですから(不特定多数)、借りる側をあえて示す必要がないので、受動態の形をしているだけです。ですから普通に能動態で訳せばいいんです。
2つ目は、by~ についてです。長文を読んでいく場合、by があれば「そこを強調したいんだ」と思えばいいわけです。
受動態のさまざまな文型
①助動詞 助動詞+be+過去分詞
②完了形 have + been + 過去分詞
③進行形 be + being + 過去分詞
【助動詞】Her new book is going to be published next month.
『彼女の新しい本は、来月出版されることになっています。』
【完了形】 Your song has been sung by a lot of singers.
『あなたの歌は、たくさんの歌手に歌われてきた。』
【進行形】 The stadium is being built now.
『その競技場は、今建設中です。』
『彼女の新しい本は、来月出版されることになっています。』
【完了形】 Your song has been sung by a lot of singers.
『あなたの歌は、たくさんの歌手に歌われてきた。』
【進行形】 The stadium is being built now.
『その競技場は、今建設中です。』
受動態の2つの意味「動作」と「状態」
受動態には、「動作:~される」と「状態:~されている」という2つの意味があります。be 動詞そのものに「動作:~になる」と「状態:~である」という2つの意味があるからです。ですから、文脈次第で「動作」にも「状態」にもなるわけです。
受動態の動作をはっきりしたい場合
誤解のないように受動態の「動作」なんだということを明らかにしたい時は、be 動詞を他の動詞に代えて使います。
◆受動態の動作の明示【 be + 過去分詞 】
⇒ become + 過去分詞
⇒ get + 過去分詞
⇒ grow + 過去分詞
■ She was dressed in red.
【状態】『彼女は赤い服を着ていた。』
■ She got dressed quickly.
【動作】『彼女は素早く服を着た。』
【状態】『彼女は赤い服を着ていた。』
■ She got dressed quickly.
【動作】『彼女は素早く服を着た。』
群動詞の受動態
■ My sister(S)took care of(V)the dog(O).
『私の姉は、その犬の世話をした。』
【×】The dog was taken care by my sister.
【○】The dog was taken care of by my sister.
『私の姉は、その犬の世話をした。』
【×】The dog was taken care by my sister.
【○】The dog was taken care of by my sister.
take care of でひとまとまりの動詞(群動詞)になっているので、一切いじらずに受動態にした後、by~ をつなげていきます。
◆よく使われる群動詞(大学入試にも頻出です!)
・look after ~ 『~の世話する』
・take care of ~ 『 〃 』
・run over ~ 『(車が)~をひく』
・laugh at ~ 『~を笑う』
・speak to ~ 『~に話しかける』
・take advantage of ~ 『~を利用する』
・cut down ~ 『~を切り倒す』
・look down on ~ 『~を軽蔑する』
・look up to ~ 『~を尊敬する』
・do away with ~ 『~を廃止する』
・deal with ~ 『~を処理する、扱う』※過去分詞<dealt(délt)>
全部コツコツ覚えましょう。
【大学入試問題2】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ On my way home from school, I was ( ) a stranger.
1.spoke 2. spoken by to 3. spoken to by 4.spoke 5.spoken to
■ On my way home from school, I was ( ) a stranger.
1.spoke 2. spoken by to 3. spoken to by 4.spoke 5.spoken to
まず、spoke to~ は「~に話しかける」という群動詞です。意味は「学校から家に帰る途中に、知らない人に話しかけられる」わけですから受動態です。群動詞はいじらずに受動態に代えていきます。ですから「3.spoken to by」が正解になります。
【大学入試問題3】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ The question will ( ) in the next week.
1.deal with 2. be dealt 3.be dealt with 4.be dealing with
■ The question will ( ) in the next week.
1.deal with 2. be dealt 3.be dealt with 4.be dealing with
deal with~ で「~を処理する」という群動詞です。意味は「その質問は、次週処理される」わけですから受動態です。「3.be dealt with」が正解になります。
【大学入試問題4】日本文に合うように語句を並べかえよ。
■ 『これらの規則はただちに廃止されるべきだ。』
Those rules [ away / be / at / with / done / should ] once.
■ 『これらの規則はただちに廃止されるべきだ。』
Those rules [ away / be / at / with / done / should ] once.
do away with~ で「~を廃止する」という群動詞です。それをふまえて並べ代えます。
■【正解】Those rules [ should be done away with at ] once.
※at once (今すぐに)
※at once (今すぐに)
SVOOの受動態
◆目的語が2つあるタイプの受動態です。
①SV[O1][O2] ※「~に」を主語にするパターン。
⇒[O1] [ be 過去分詞 ] [O2] [ by S ]
②SV[O1][O2] ※「~を」を主語にするパターン。
⇒[O2] [ be 過去分詞 ] [to O2] [ by S ]
【注意】
・動詞が give型(人に~する)なら [to O2]
・動詞がbuy型(人のために~してあげる)なら[for O2]
・ただしbuy型の場合、[O1]を主語にした受動態は作ることはできません。
■ Tom (S) sent (V) Alice (O1) a Birthday card (O2).
『トムは、アリスに誕生カードを送った。』
⇒ Alice (O1) was sent(V) a Birthday card (O2) by Tom (S).
『アリスは、トムから誕生カードを送られた。』
⇒ A birthday card (O2) was sent(V) to Alice (O1) by Tom (S).
『誕生カードが、トムによってアリスに送られた。』
『トムは、アリスに誕生カードを送った。』
⇒ Alice (O1) was sent(V) a Birthday card (O2) by Tom (S).
『アリスは、トムから誕生カードを送られた。』
⇒ A birthday card (O2) was sent(V) to Alice (O1) by Tom (S).
『誕生カードが、トムによってアリスに送られた。』
■ My mother (S) made(V) me(O1) a new dress(O2).
『私の母は、私に新しいドレスを作ってくれた。』
⇒【×】I (O1) was made (V) a new dress (O2) by my mother.(S)
『私は、私の母に新しいドレスを作られた。』
⇒【○】A new dress (O2) was made (V) for me (O1) by my mother(S).
『新しいドレスが、私の母によって作られた。』
『私の母は、私に新しいドレスを作ってくれた。』
⇒【×】I (O1) was made (V) a new dress (O2) by my mother.(S)
『私は、私の母に新しいドレスを作られた。』
⇒【○】A new dress (O2) was made (V) for me (O1) by my mother(S).
『新しいドレスが、私の母によって作られた。』
SVOCのを受動態にする時の注意
◆目的語と補語があるタイプの受動態です
・S(主語)V(述語) / O(主語)C(述語)
・(主語)(述語)の関係が2つある文
・『SがVする、OをCに』
⇒[O] [ be 過去分詞 ] [C] [ by S ]
■ Her grandfather(S) named(V) the baby(O) Ken(C).
『彼女の祖父は、その赤ちゃんにケンと名付けた。』
⇒ The baby(O) was named(V) Ken(C) by her grandfather(S).
『その赤ちゃんは、彼女の祖父にケンと名付けられた。』
『彼女の祖父は、その赤ちゃんにケンと名付けた。』
⇒ The baby(O) was named(V) Ken(C) by her grandfather(S).
『その赤ちゃんは、彼女の祖父にケンと名付けられた。』
◆知覚動詞・使役動詞の場合
・SV(知覚、使役動詞) / OC(←ここが動詞原形なら)
⇒[O] [ be 過去分詞 ] [ to C ] ([ by S ])
※受け身すると原形でなく「to不定詞」にする!
【知覚動詞】 I(S) saw(V) the girl(O) fall down(C). ※動詞原形
『私は、その少女が転ぶのを見た。』
⇒ The girl(O) was seen(V) to fall down(C).
『その少女は、転ぶのを見られた。』
※受動態にできる知覚動詞は、see, hear, observe だけです。
『私は、その少女が転ぶのを見た。』
⇒ The girl(O) was seen(V) to fall down(C).
『その少女は、転ぶのを見られた。』
※受動態にできる知覚動詞は、see, hear, observe だけです。
【使役動詞】 My mother(S) made(V) me(O) wait(C) .※動詞原形
『私の母は、私を待たせた。』
⇒ I(O) was made(V) to wait(C) by my mother.
『私は、私の母に待たされた。』
※ let, have は普通受動態にしません。
『私の母は、私を待たせた。』
⇒ I(O) was made(V) to wait(C) by my mother.
『私は、私の母に待たされた。』
※ let, have は普通受動態にしません。
◆知覚動詞・使役動詞の場合でも
②SV(知覚、使役動詞) / OC(←ここが現在分詞なら)
⇒[O] [ be 過去分詞 ] [ C ] ([ by S ])
※ to はつけずに、そのままにします。
【知覚動詞】 I(S) heard(V) her (O) singing(C). ※現在分詞
『私には、彼女が歌っているのが聞こえた。』
⇒ She(O) was heard(V) singing(C).
『彼女が歌っているのが聞かれた。』
※受動態にできる知覚動詞は、see, hear, observe だけです。
『私には、彼女が歌っているのが聞こえた。』
⇒ She(O) was heard(V) singing(C).
『彼女が歌っているのが聞かれた。』
※受動態にできる知覚動詞は、see, hear, observe だけです。
それでは、次の問題ができるか挑戦してみて下さい。
【大学入試問題5】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ The boy was heard ( ).
1.sing 2. sang 3.sung 4.to sing 5.to be sung 4
【大学入試問題6】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ He was made ( ) all day last Monday.
1.work 2. to work 3.be working 4.to working
【大学入試問題7】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ He was seen ( ) into the theater with his girlfriend.
1.go 2. went 3.gone 4.going
■ The boy was heard ( ).
1.sing 2. sang 3.sung 4.to sing 5.to be sung 4
【大学入試問題6】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ He was made ( ) all day last Monday.
1.work 2. to work 3.be working 4.to working
【大学入試問題7】空欄に入る最も適切なものを選びなさい。
■ He was seen ( ) into the theater with his girlfriend.
1.go 2. went 3.gone 4.going
問5と問6は簡単ですね。to が付いている4と2が正解です。問7はどうですか?本当だったら to go が欲しいところです。もしあればそれが正解ですが、残念ながら to go がありません。でも入れれることができるものがあと一つありましたね。現在分詞の going です。ですから4が正解となるわけです。
【英語文法13・関係詞】形容詞節、名詞節、複合関係詞をしっかり区分けして理解しよう!
書店に溢れる、どんな文法書よりもわかりやすい文法解説を目指すシリーズの13回目は、関係詞です。関係詞は何節を作るかで3つのグループに分けることができます。形容詞節、名詞節、複合関係詞の3つです。それぞれルールがまったく違うのでしっかり理解する必要があります。